武者幟の見分け方

幟の作り方(絵の描き方)は、以下の通りです。

「手描本染」  いったん布全体にニジミ防止のための糊打ちをして、
 その上から手描きで絵柄を載せていきます。
 基本的に顔料を使い、染料を使うことは殆どありません。
 当然のことながら、裏表で別々に筆遣いのタッチが残る為、絵柄がぴったり合う事はありません。
 制作者の好みで、無地の縁取りをわざわざ作る場合もありますが、
 基本的には普通の絵のように色は繋がっています。
「本染」  布の上に糊で色分け用の主線を入れ(糊置き)、塗り絵のように色を載せます。
 糊置きは手置き(手描)の事もあれば型置きの事もありますが、
 どちらにせよ裏、表の両側から糊を置きますので、
 絵柄がぴったり合う事は無いと思っていいでしょう。
 ただし、型置きの場合は、スクリーン印刷のように型を捨打ちにして糊置きすることで、
 ズレを最小限(ほぼズレなしのレベル)に押さえることができるようです。(コストは上がりますが)
 基本的に顔料を使い、染料を使うことは少ないです。
 たまに手置きで糊置きしたものを手描本染と言う事がありますが、
 これは正しくない(間違い、とは言いませんが)と思います。
 防染糊で主線が描かれているため、無地の縁取りが出来ます。
 ただし、仕上げの際に縁取りを顔料で塗りつぶす手間をかけたものも存在しています。
 また、裏側にも絵描きをした物とそうでない物があり、価格に差が生まれます。
「スクリーン」/
「プリント」

「注染」
 量産向き。糊は使いません。
 スクリーンには捨て打ちと呼ばれる方法、プリントは完全に規格化された絵柄があり、
 裏表は殆どズレません。
 また、注染は圧力で染料を透過させてしまうので、ズレは生じません。手拭いなどと一緒です。
 プリントでは顔料を使った物もいくらか見られますが、他の二つはほぼ染料を使います。

基本的に上に位置する物ほど高価だと思って間違いないです。
生地は綿が基本。
綾織地、帆布といった厚手の物は本染以上で使われるのが普通です。
普及品(量産品)になると、
ナイロン布地にスクリーン打ちなんて製品までありますが、
パチンコ屋の幟じゃあるまいし…ねえ。

ちなみに、無形文化財や伝統工芸士といわれる人の手描本染でも
一枚10万程度で買えます。(仕入れルートにもよりますが、15万はしないです)
まあ、二枚ワンセットにしてポールも買ったとすると
合計30万くらいにはなっちゃいますが…
本染で一枚3〜8万くらいですかね。
やたら高い値段をつけてるお店もあるようですが相場はこんな物です。

染料と顔料の違いについて。

顔料は無機材料(鉱物系)で出来ています。
日本画で使われるものとほぼ同じものです。
発色が良く、褪色が緩やかで、外飾りである武者幟・鯉のぼりには好適なのですが、「高い」のが玉に傷。

一方染料ですが、有機、無機を問わず存在します。
目の覚めるような発色こそ望めませんが、色合いが明るく、安上がり。
ただし褪色が始まってしまうと、あっという間に色がボケてしまうのが欠点。

後、鯉のぼりのほうでも書いてますが、
「自社専門工房制作」を名乗る店は信用しないこと。
こうした「旗物」には分業が存在しません(ポールは別ですが)ので、
工房が小売部門を持っていることはあっても、
小売店が工房を持っていることは有り得ません。

自店のみで何千本も売れるわけが無い以上、
職人さんが食べていけないことは明白です。
だまされないように。

→武者幟の工程を見る
→各技法の比較写真を見る
→工房による顔の違いを見る

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